こんにちは。
当サイトであるicevelを運営しているYamada(@icevel3)です。
日本でも可愛らしい見た目から人気の鳥が「パフィン」です。
「パフィンってどんな鳥なの?」
「どこでパフィンをみれるの?」
など疑問や知りたいことがあると想います。
今回の記事では、3種類存在するパフィンの生態や観察できる国や地域、観察時の注意点などを解説しています。
パフィンとはウミスズメ科の海鳥
パフィン(Puffin)とは、チドリ目ウミスズメ科に分類される海鳥です。
ずんぐりとした体型に白と黒の羽、オレンジの足、大型の鮮やかなクチバシをしています。
パフィンの白い顔、鮮やかなクチバシ、足などは春から夏にかけた繁殖期限定です。
繁殖期が終わる冬には顔が灰色になり、目やクチバシなどは地味な色になります。
パフィンは、その特徴的な外見から「海のピエロ」や「海のオウム」と呼ばれています。
また、パフィンの白黒の姿や直立姿勢からペンギンと間違えられることがありますが、まったく違う種類です。
パフィンという名前は「膨らむ」を意味する「Puff」が由来と考えられています。
羽毛は密集していて、丸く膨れ上がったような外見をしています。

パフィンは、海の冷たい北半球の高緯度地域に生息しています。
パフィンは3種類存在する
パフィンは、以下の3種類を総称してあらわしています。
パフィンの種類(和名) | 英名 | 学名 |
---|---|---|
ニシツノメドリ | Atlantic Puffin | Fratercula arctica |
ツノメドリ | Horned Puffin | Fratercula corniculata |
エトピリカ | Tufted Puffin | Fratercula cirrhata |
パフィンの学名である「Fratercula」は、ラテン語で「小さな修道士」という意味です。
パフィンの見た目である白と黒が修道士の衣服を連想させるからだそうです。
次からは、3種類のパフィンについて解説してきます。
ニシツノメドリ
ニシツノメドリは、日本で最も有名なパフィンです。
3種類のパフィンの中で、ニシツノメドリは体長が小さいです。
春からの繁殖期になると、ニシツノメドリの顔は白くなり、クチバシや足が鮮やかな色になります。
ニシツノメドリは主に北大西洋に生息しているので「大西洋のツノメドリ」と名前がついたとされています。
体長 | 32cmほど |
---|---|
体重 | 約500g |
分布 | 北大西洋〜北極海 |
アイスランド、スカンジナビア半島、グリーンランド、 イングランド・スコットランド、北フランス、 カナダ、北アメリカ東部 |
ツノメドリ
ツノメドリは、ニシツノメドリと外見が似ているパフィンです。
この2種類の違いはクチバシです。
ツノメドリのクチバシの付け根は黄色や灰色をしていて、ニシツノメドリのクチバシの付け根は黄色です。
また、ツノメドリは春からの繁殖期になると、目の上に尖った突起物があらわれます。
目の上に尖った突起物から、ツノメドリは漢字で「角目鳥(つのめどり)」と書きます。
ツノメドリの英名「Horned Puffin」の由来は、目の上にある突起物の「Horn=角」からきています。
体長 | 38cmほど |
---|---|
体重 | 約600g |
分布 | 北太平洋 |
千島列島、ロシアのカムチャッカ半島、 アラスカの海岸線沿い |
エトピリカ
エトピリカは、3種類のパフィンの中で体長が大きい海鳥です。
エトピリカは春からの繁殖期になると、顔が白くなったりクチバシや足が色鮮やかになります。
さらに、目の上にかけて金色の飾り羽が生えてきます。
繁殖期が終わる冬には顔が灰色になり、飾り羽も抜けます。
また、ツノメドリとニシツノメドリは胸やお腹部分が白の羽毛ですが、エトピリカは顔と足以外が黒の羽毛におおわれます。
エトピリカという名前は、アイヌ語の「エトゥ(くちばし)ピリカ(美しい)」が由来とされています。
エトピリカの特徴的な外見から別名「花魁鳥(おいらんどり)」とも呼ばれています。
体長 | 44cmほど |
---|---|
体重 | 約700g |
分布 | 北太平洋 |
北海道東部〜千島列島、ロシアのカムチャッカ半島、 アラスカ〜カルフォルニアの海岸線沿い |
パフィンの生態
パフィンの特徴的な生態をご紹介していきます。
飛行能力はあまり高くない
パフィンは体の大きさに対して翼が小さいので、飛行能力はあまり高くありません。
空を飛ぶために1分間で300回〜400回も羽ばたき、最大88kmの速さで飛ぶことができます。
パフィンは海面から空へ飛び立つときには、助走をつけながら水の上を走ります。
また、パフィンは着陸や着水が苦手です。
具体的には、海面にぶつかりながら着水、草の上にゴロゴロ転がりながら着陸、仲間のパフィンに衝突しながら着陸します。
一年のほとんどを海で暮らす
パフィンは一年のうち、約8ヶ月を海ですごす海鳥です。
一般的に4月中旬からコロニーがある地上に戻り、8月末までには再び海に帰って越冬します。
パフィンは、水上での生活に適応しています。
羽毛は防水に優れ、海水を飲んで余計な塩分を鼻腔の腺から排出できます。
パフィンは、必ずしもパートナーと一緒に海ですごすとは限りません。
繁殖期が始まる春の季節には陸でパートナーと再会し、クチバシをぶつけあう求愛行動をします。
飛ぶように水中を泳ぐ
パフィンは泳ぎが得意な海鳥です。
水中では翼を羽ばたかせて泳ぎ、足で泳ぐ方向を調整しています。
パフィンの主食はニシンやシシャモ、サンドウナギなどの小魚です。
パフィンの泳ぐスピードは時速88kmに達することができ、潜水時間は約20〜30秒ほどです。
魚を狩りするときには、約60mの深さまで潜れます。
一度に魚を何匹もくわえる
パフィンは、一度に複数の小魚を巣穴に持ち帰ることができます。
一度にくわえれる小魚の数は平均10匹ほどですが、過去に100匹以上の小魚を一度にくわえたパフィンの記録があります。
パフィンのクチバシの裏には、棘のような返しがついていて、一度に多くの魚を捕まえれます。
パフィンのヒナが生まれると、親鳥は子供ために海で小魚を捕まえて巣穴に届けます(何度も往復します)。
穴を掘ってヒナを育てる
パフィンは、卵を守るために地面の下や岩の隙間に巣穴を作ります。
巣穴はクチバシを使って穴を掘り、足で土をかき出します。
また、ウサギが掘った穴を巣穴として再利用したりします。
メスのパフィンは1年に1個の卵を産み、両親が温めながら育てます。
孵化したパフィンのヒナは灰色の羽毛で覆われており「パフリング(Pufflings)」と呼ばれています。
パフィンの寿命は約20年で、一度作った巣穴は何年も同じパフィンが使用します。
パフィンは一夫一婦制で、基本的にパートナーと一生添い遂げるといわれています。
パフィンの観察はアイスランドが最適
北ヨーロッパの北大西洋上に位置するアイスランドは、パフィンの観察に適した国です。
ニシツノメドリの約60%は、アイスランドで繁殖するといわれています。
ニシツノメドリがアイスランドでみれる時期は、4月下旬から8月下旬ぐらいです。
アイスランド語でパフィンは「Lundi(ルンディ)」といいます。
アイスランドでニシツノメドリをみるのに最適なスポットは以下の通りです。
- ウエスマン諸島
- ディルホゥラエイ
- ラゥトラビャルグ
- アークレイ島・ランディ島
ウエストマン諸島
ウェスマン諸島(Vestmannaeyjar)は、アイスランドの南海岸沖にある15の島と30の岩山からなる群島です。
アイスランドの中でもウェスマン諸島は、ニシツノメドリが多く集まる世界最大のコロニーです。
ウェスマン諸島の中でニシツノメドリの観察に適しているのは、ヘイマエイ島(Heimaey)にあるStórhöfðiという場所です。
ヘイマエイは、ウェスマン諸島で唯一の人が住んでいる最も大きい島です。
ヘイマエイ島の最南端にはStórhöfðiという半島があり、ここはニシツノメドリのコロニーがあります。
Stórhöfðiにはバードウォッチング用の小屋があり、そこからニシツノメドリをはじめ、さまざまな野鳥の観察ができます。
ヘイマエイ島へ行くにはフェリーが最適です。
アイスランド本土にあるLandeyjahöfnという港とウェスマン諸島を結ぶフェリーが1日7回でています。
Stórhöfðiはヨーロッパでも風が強い場所なので、夏でも暖かい服装にしていきましょう。
ディルホゥラエイ
ディルホゥラエイ(Dyrhólaey)は、アイスランド南部の海岸にある岬の名前です。
岬の崖にはニシツノメドリをはじめ、さまざまな野鳥のコロニーがあります。
海に突きでたディルホゥラエイの高さは約120mで、アーチ状の岩が特徴的です。
首都のレイキャビクからディルホゥラエイまでは、車で2時間半ほどかかります。
野鳥の繁殖シーズンである5月と6月には、ディルホゥラエイへいく道が制限されている可能性があります。
日中(9時〜18時)であれば、ディルホゥラエイの上まで徒歩でいけます。
ラゥトラビャルグ
ラゥトラビャルグ(Látrabjarg)は、アイスランドの西部フィヨルド地方にある岬の名前です。
岬の崖には、ニシツノメドリのコロニーがあります。
ラゥトラビャルグは、アイスランドで多くの野鳥がみられるスポットの1つです。
ラゥトラビャルグの高さは最大441mで、長さは14kmもあります。
首都のレイキャビクからラゥトラビャルグまでの距離は、約430kmで車だと約6時間ほどかかります。
また、西部フィヨルドにあるビルドダール空港(Bíldudalur Airport)からラゥトラビャルグまでの距離は、約90kmで車だと約1時間半ほどです。
飛行機でいく西部フィヨルドツアー(1泊2日)に参加すれば、ツアーガイドがラゥトラビャルグへ連れてってくれます。
アークレイ島・ランディ島
アークレイ島(Akurey)とルンディ島(Lundi)は、ファクサ湾にある小さな島です。
繁殖期になると、この2つの島にニシツノメドリがやってきます。
アークレイ島とルンディ島は、アイスランドの首都であるレイキャビクから近い距離にあります。
レイキャビクから船でいくパフィンツアーが開催されているので、レンタカーを借りないでニシツノメドリをみたい方におすすめです。
その他にパフィンがみれる国・地域
アイスランド以外にもパフィンの観察に適した場所があります。
- スコットランド(イギリス)
- イングランド(イギリス)
- アイルランド
- アラスカ(アメリカ)
- 根室(北海道)
パフィンの観察ができる国や地域を詳しく解説していきます。
スコットランド(イギリス)
イギリスの北部にあるスコットランドでは、ニシツノメドリをみれるスポットが多くあります。
スコットランドにある離島の沖合には、ニシツノメドリのコロニーがあります。
ニシツノメドリがみれてアクセスしやすいところは「メイ島(May Island)」や「クレイグリース島(Craigleith island)」です。
メイ島やクレイグリース島は、スコットランド東部のフォース湾にある島です。
この2つの島では海鳥が数多く生息しており、湾内や島は国の自然保護区に指定されています。
ニシツノメドリがメイ島やクレイグリース島へやってくる時期は、4月から8月中旬ぐらいです。
アイルランド本土からメイ島までは約8km離れていて、島への上陸はフェリーやボートで可能です。
スコットランドの首都であるエジンバラ、またはアンストライザーという町から、メイ島やクレイグリース島までのフェリーやボートがでています。
イングランド(イギリス)
ロンドンがあるイングランドでは、ニシツノメドリをみれるスポットがあります。
イングランド本土でニシツノメドリがみれてアクセスしやすいところは「ベンプトン・クリフ(Bempton Cliffs)」です。
ベンプトン・クリフは、ヨークシャー地方のイースト・ライディングにある断崖絶壁の海岸です。
イングランドで多くの海鳥が集まるベンプトン・クリフは、RSPB(英国王立鳥類保護協会)が自然保護区として管理しています。
ニシツノメドリは繁殖期になると、イースト・ライディングの断崖絶壁に巣を作ります。
ニシツノメドリがベンプトン・クリフへやってくる時期は、4月中旬から7月中旬ぐらいです。
ロンドンからベンプトン・クリフまでの距離は約380kmほどです。
アイルランド
西ヨーロッパに位置するアイルランド(Irelland)の西海岸では、ニシツノメドリがみられます。
アイルランドでニシツノメドリのコロニーがある有名な島といえば「スケリグ・ヴィヒール(Skellig Michael)」です。
スケリグ・ヴィヒールは、アイルランド南西の沖にある世界文化遺産に登録されている島です。
この島は、映画「スター・ウォーズ」のシリーズ「フォースの覚醒(2015年)」「最後のジェダイ(2017年)」「スカイウォーカーの夜明け(2019年)」のロケ地としても有名です。
作中に登場するルーク・スカイウォーカーが隠居生活を送っていた島のロケ地がスケリグ・ヴィヒールです。
また、映画内に登場するポーグ(Porg)というキャラクターのモデルは、パフィンとスター・ウォーズ側が述べています。
ニシツノメドリがスケリグ・ヴィヒール島へ滞在する期間は、4月から8月下旬ぐらいです。
スケリグ・ヴィヒール島の近くへ行くには、ボートツアーを利用しましょう。
毎年4月から9月末ごろ、ケリー州のポートマギーという村からスケリグ・ヴィヒールへのボートツアーが開催されています。
日本からアイルランドの直行便はありませんが、イギリス(ロンドン)経由でいくのがオススメです。
アラスカ(アメリカ)
アメリカ合衆国の最北端にあるアラスカ州では、ツノメドリやエトピリカの2種類がみられます。
アラスカでツノメドリやエトピリカがみれてアクセスしやすいところは「キーナイ半島(Kenai Peninsula)」です。
キーナイ半島はアラスカ州の南部に位置しています。
半島内には、氷河やフィヨルドが広がるキーナイ・フィヨルド国立公園があります。
キーナイ半島にあるビーハイブ島(Beehive Islands)や、チルウェル諸島(Chiswell Islands)の崖には、パフィンのコロニーがあります。
キーナイ半島で行われているクルーズツアーを利用すると、パフィンやクジラなどの野生動物や氷河をまわることができます。
北海道でパフィンをみれる
北海道の東部には、パフィンのエトピリカがみれます。
以前までは、北海道東部にある島々にエトピリカがおとずれていました。
しかし、1970年代からエトピリカの数が減少しています。
現在では、根室市にある無人島の「ユルリ島」「モユルリ島」で数組のつがいが確認されているのみです。
環境省では、エトピリカを絶滅危惧種ⅠA分類(レッドリスト)に分類しています。
エトピリカが北海道におとずれる時期は、4月下旬から8月下旬ぐらいです。
基本的に、一般人がユルリ島やモユルリ島へ上陸することはできません。
ただし、島を回るクルーズツアーを利用すれば、エトピリカをみれる可能性があります。
日本の動物園や水族館でパフィンをみれることも
日本の動物園や水族館には、パフィンを飼育しているところがあります。
栃木県の「那須どうぶつ王国」では、ニシツノメドリが飼育されています。
千葉県の「鴨川シーワールド」や東京都の「葛西臨海水族園」では、エトピリカが飼育されています。
パフィンのいる動物園や水族館の最新情報を調べるには、日本動物園水族館協会の公式サイトにある飼育動物検索をご覧ください。
パフィンを観察するときの注意点
野生のパフィンを観察するときには、以下に注意しましょう。
- マナーを守って観察する
- あたたかい服装で観察する
- 双眼鏡やカメラがあるとよい
マナーを守って観察する
パフィンに限らず野生動物を観察するときには、以下のマナーを守りましょう。
- 巣に近づかない
- パフィンを直接触れようとしない
- エサを与えない
- 自然を傷つけないように指定された道を歩く
- ゴミは持ち帰る
パフィンに近づくときには、姿勢を低くしてゆっくりと動きましょう。
また、場所によってパフィンのいる崖には柵が設置されていない場合があるので、落ちないように注意しましょう。
あたたかい服装で観察する
野生のパフィンを観察しに行くときには、あたたかい服装を選びましょう。
パフィンのコロニーがある海岸では、風をさえぎるものがほとんどなく、海水で服が濡れる可能性があります。
なので、野生のパフィンを観察するときには、防水や防風機能のある上着や、濡れたとき用に替えの服があるといいでしょう。
また、紫外線対策で帽子や日焼け止めも用意するといいでしょう。
双眼鏡やカメラがあるとよい
パフィンをはじめ野鳥を観察したり、記録に残したい場合は、双眼鏡やカメラがあると便利です。
双眼鏡は倍率8〜10倍が使いやすく、防水性能があると安心です。
カメラの望遠レンズは、焦点距離が300mm(35mm換算)以上はあるのが望ましいです。
カメラやレンズなど重い機材を持って行きたくない場合は、カメラとレンズの一体型でコンパクトな「コンデジ」の防水タイプがおすすめです。
【まとめ】パフィンはみた目も可愛らしい海鳥
海鳥のパフィンについて解説しました。
今回の記事をまとめると、以下になります。
- パフィンは、ずんぐり体型と鮮やかなクチバシのある海鳥
- パフィンには「ニシツノメドリ」「ツノメドリ」「エトピリカ」の3種類が存在する
- パフィンは1年のほとんどを海で生活し、4月〜8月の繁殖期には陸へやってくる
- ニシツノメドリの約60%はアイスランドで繁殖するので、パフィンの観察に適している
- スコットランド、イングランド、アイルランドはニシツノメドリの観察に適している
- アラスカではツノメドリやエトピリカの2種類がみれる
- 北海道の根室市にある無人島にはエトピリカがやってくる
- 野生のパフィンを観察するときにはマナーを守ること
今は旅行に行きづらい世の中です。
新型コロナウィルスの終息に向けて、パフィンを観察しに旅行計画を立ててみてはいかがでしょうか?
