こんにちは。
当サイトのicevelを運営しているYamada(@icevel3)です。
サンタクロースといえば、赤い服で白いひげをイメージする方も多いでしょう。
子供から大人まで好きな方も多いサンタクロースですが、アイスランドでは日本とイメージが大きく異なるようです。
アイスランドには、サンタクロースが13人います。
「13人もサンタクロースがいるの?何者?」など、疑問があると想います。
今回の記事は、アイスランドのサンタクロースや両親、ペットの猫を解説します。
※2024年12月6日:最新情報に更新しました
アイスランドにはユールラッズというサンタクロースがいる
アイスランドには、ユールラッズ(Yule Lads)またはアイスランド語で「Jólasveinar」と呼ばれる13人兄弟のサンタクロースがいます。
ユールラッズの正体はトロールです。
トロールとは、北欧の民間伝承に登場する妖精です。
普段のユールラッズは山奥の洞窟に住んでいて、12月12日になると一人ずつ山から町に降りてきます。
アイスランドの子供たちは、家の窓の近くに靴を置き、ユールラッズがその靴の中にプレゼントを入れてくれます。
ただし、プレゼントをもらえるのは良い子だけです。
悪い子は、ユールラッズが靴の中に腐ったじゃがいもを入れます。
12月24日にユールラッズの全員が町に集合すると、翌日から一人ずつ山に帰っていきます。
1月6日に最後のユールラッズが山に帰ると、クリスマスは終了です。
ユールラッズの民間伝承は17世紀ごろに登場したとされ、地域や時代とともに伝承の内容は変化してきました。
諸説はありますが、現在のユールラッズの伝承は20世紀にアイスランド全土で広まったとされています。
アイスランド出身の作家・詩人である「Jóhannes úr Kötlum」が1932年に出版した本「Jólin koma」の中で13人のユールラッズが登場しています。
13人のユールラッズはいたずら好き
いたずらが好きな13人のユールラッズを紹介します。
羊に嫌がらせをするユールラッズ
IIlustration by Brian Pilkington
12月12日に町へやってくる1人目のユールラッズは、ステッキャルストゥイル(Stekkjastaur)です。
農家の羊小屋に侵入して、羊の上に乗ったりミルクを飲んだりします。
牛乳を盗むユールラッズ
IIlustration by Brian Pilkington
12月13日に町へやってくる2人目のユールラッズは、ギリヤグイル(Giljagaur)です。
牛舎に忍び込んで、バケツにあった牛乳を飲み干してしまいます。
フライパンを盗むユールラッズ
IIlustration by Brian Pilkington
12月14日に町へやってくる3人目のユールラッズは、ストゥーヴル(Stúfur)です。
洗っていない鍋やフライパンを盗み、鍋に付いている残飯を食べます。
ユールラッズの中では、身長が一番小さいです。
スプーンをなめるユールラッズ
IIlustration by Brian Pilkington
12月15日に町へやってくる4人目のユールラッズは、スヴールスレイキル(Þvörusleikir)です。
洗っていない木のスプーンを盗み、なめてきれいにします。
身長が高くて細身のユールラッズです。
鍋にある残り物を盗むユールラッズ
IIlustration by Brian Pilkington
12月16日に町へやってくる5人目のユールラッズは、ポッタスケーヴィトル(Pottaskefill)です。
鍋の中にあった残り物を盗み、食べてしまいます。
食器をなめるユールラッズ
IIlustration by Brian Pilkington
12月17日に町へやってくる6人目のユールラッズは、アスカスレイキル(Askasleikir)です。
ベットの下に潜んでいて、食器が床の上に置かれると盗んできれいになめてしまいます。
ドアをバタンと閉めるユールラッズ
IIlustration by Brian Pilkington
12月18日に町へやってくる7人目のユールラッズは、フルザスケトリル(Hurðaskellir)です。
ドアを勢いよくバタンと閉めるいたずらをします。
特に真夜中にドアを開け閉めするのが好きなユールラッズです。
スキールが好きなユールラッズ
IIlustration by Brian Pilkington
12月19日に町へやってくる8人目のユールラッズは、スキーリヤルムル(Skyrgámur)です。
アイスランドの国民食である乳製品の「スキール(Skyr」)」が大好物で、食料庫からスキールを盗みます。
ソーセージが好きなユールラッズ
IIlustration by Brian Pilkington
12月20日に町へやってくる9人目のユールラッズは、ビュグナクライキル(Bjúgnakrækir)です。
屋根の垂木(たるき)に潜み、薫製にしていたソーセージを盗みます。
窓をのぞくユールラッズ
IIlustration by Brian Pilkington
12月21日に町へやってくる10人目のユールラッズは、グルッガギャイイル(Gluggagægir)です。
窓の外から家の中をのぞいて、盗むものがないか確認をします。
鼻の大きいユールラッズ
IIlustration by Brian Pilkington
12月22日に町へやってくる11人目のユールラッズは、ガウッタセーブル(Gáttaþefur)です。
大きな鼻と嗅覚で、「葉のパン」というアイスランドの伝統的なパンを見つけます。
ちなみに、Gáttaþefurは風邪を引いたことがないそうです。
フックで肉を盗むユールラッズ
IIlustration by Brian Pilkington
12月23日に町へやってくる12人目のユールラッズは、ケートクロウクル(Ketkrókur)です。
長いフックを使って肉やハンギキョート(薫製した羊肉)を盗みます。
ろうそくを盗むユールラッズ
IIlustration by Brian Pilkington
12月24日に町へやってくる13人目のユールラッズは、ケルタスニーキル(Kertasníkir)です。
子供たちのあとをついて、ろうそくを盗みます。
昔のろうそくは動物から取れる脂を用いて作られていたので、食べることもできました。
ユールラッズの両親
ユールラッズには両親がいます。
母親の名前はグリーラ(Grýla)といい、父親の名前はレッパルージ(Leppalúði)といいます。
グリーラとレッパルージの正体は、トロール(妖精)です。
ユールラッズの両親について、詳しい解説をします。
母親のグリーラ
IIlustration by Brian Pilkington
ユールラッズの母親であるグリーラは、アイスランドの民間伝承の中でも歴史のある人物です。
13世紀ごろの写本にもグリーラが登場しています。
別名「クリスマスの魔女」とも呼ばれるグリーラは、悪い巨人のトロールです。
クリスマスの間、いたずらをする悪い子供たちを大きな袋に入れて集めます。
そのあと、鍋で茹でてシチューにして子供たちを食べてしまいます。
伝承によると、レッパルージはグリーラの3番目の夫です。
1番目の夫と2番目の夫は、グリーラが食べたといわれています。
ユールラッズは、グリーラとレッパルージとの子供です。
父親のレッパルージ
IIlustration by Brian Pilkington
ユールラッズの父親であるレッパルージは、怠け者のトロールです。
普段のレッパルージは、住まいである洞窟に閉じこもって暮らしています。
グリーラやユールラッズのようにいたずらをしたり、人を食べたりしません。
ちなみに、レッパルージとグリーラはアイスランド北部にある地域「Dimmuborgir(ディムボルギル)」に住んでいるといわれています。
大型の猫であるユールキャット
IIlustration by Brian Pilkington
ユールラッズ・グリーラ・レッパルージを紹介するうえで、ユールキャットの存在を忘れてはいけません。
ユールキャット(Yule Cat)は、人よりもはるかに大きい黒猫です。
アイスランドでは、Jólakötturinnとも呼ばれています。
諸説はありますが、ユールキャットはグリーラ家のペットの設定で、初めて登場したのは19世紀ごろです。
伝承によると、クリスマス・イブの夜までに新しい服を用意できなかった人は、ユールキャットに食べられてしまいます。
ユールキャットの伝承が誕生した背景には、アイスランドの習慣が関係しています。
中世のアイスランドでは、羊毛の生産・加工が大きな産業でした。
働き者には新しい服が与えられ、怠け者には服が与えられませんでした。
仕事でやる気を出してもらうために、ユールキャットの伝承が生まれたといわれています。
ちなみに、11月下旬からレイキャビクのダウンタウンにある広場(Lækjartorg)では、ユールキャットのイルミネーションが設置されます。
ユールラッズのグッズが販売されている
アイスランド旅行でお土産屋に行くと、ユールラッズのグッズが置かれていることがあります。
今回の記事で紹介したユールラッズのイラストを描いたのは、イラストレーターのブライアン・ピルキントン(Brian Pilkington)さんです。
ブライアン・ピルキントンさんがデザインしたユールラッズのグッズは多く存在します。
フィギュアや絵本、トランプ、オーナメント、マグカップ、マグネットなどです。
私がアイスランド旅行をしたときには、お土産でユールラッズのポストカードを購入しました。
アイスランド旅行に行く場合は、お土産にユールラッズのグッズを買うのもよいでしょう。
なお、ユールラッズの絵本が日本語に翻訳されて販売中です。
本のタイトルは「13人のサンタクロース アイスランドにつたわるクリスマス」で、ゆぎ書房から販売されています。
【まとめ】アイスランドにはいたずら好きなサンタクロースがいる
アイスランドのサンタクロースを解説しました。
アイスランド版のサンタクロースであるユールラッズの正体は、13人兄弟のトロールです。
クリスマスシーズンになると、ユールラッズは毎日1人ずつ山から町に降りてきて、さまざまないたずらをします。
ユールラッズには母親のグリーラ、父親のレッパルージ、ペットの大型猫がいます。
アイスランドのサンタクロースのことが気になったら、アイスランド旅行を検討してみてはいかがでしょうか。